『三秒間の死角』
アンデシュ・ルースルンドは、スウェーデンの作家、ジャーナリスト。
生年月日: 1961年1月1日 (年齢 57歳)
生まれ: スウェーデン ヨンショーピング市
ブリエヘルストレムは、スウェーデンの作家。
ストックホルム郊外のグスタヴスベーリ 出身。
生年月日: 1957年
生まれ: スウェーデン
確か村上龍氏の言であったと思うのですが、父と息子が心を通わさせる最適な方法は幼い息子とのキャッチボールであるとのことです。父親は息子になるべく取りやすい球を投げる、息子は認めてもらおうと真剣に球を受け、力を込めて投げ返す。父はどんな暴投であっても、必ず取りに行く決意をしている。それが心の真の意味での交流だと。
野球の世界は少年たちのリトルリーグから、メジャーリーグのスター選手までレベルの違いがあります。個人的には、どちらが良いとか悪いとかはなくて、楽しむことができればそれで良いと考えます。
本の世界でもそれと変わらない考えを、私は持っています。
紛うことなくメジャー級の小説です。警察小説であり、犯罪小説であり、悪漢小説であり、恋愛小説であり、ルポル・タージュであり、ノンフィクションであり、(日本でいうところの)純文学でもあります。
大規模麻薬組織を壊滅させるために、その組織の幹部となり、刑務所のドンとなるべく依頼を受けた”民間の”潜入捜査官。
裏切られ、蔑まれ、切り捨てられた、世界で一番孤独な男。
殺されるかどうかより、いつ殺されるかに体と心を震わせる男。
100%逃げ場がない状態で、自身の感情を殺していく男。
潜入捜査官のコードネームはパウラ。
愛する妻と可愛いふたりの息子を持つ男の本名はピート・ホフマン。
家族以外、世界中が殺したがっている男。絶望と孤独の体現者。
キーワードは<チューリップと詩>
刑務所にめでたく?入所したパウラ=ピート・ホフマンでしたが、政府がもみ消した殺人事件に関与しており、それが露見するのを恐れた権力者たちが自分たちの保身のために、潜入捜査官を裏切ります。囚人のひとりの弁護士を通して、ホフマンは潜入捜査官、密告者ということを告げさせます。噂はあっというまにひろまります。
不遜な態度、犯罪歴から刑務所内ヒエラルキーのトップにのぼりつめていたホフマンは一挙にすべての囚人から命を狙われることになったのです。危機を感じたホフマンは隔離収容所への、移動を希望し、認められます。しかし、その場でも一瞬の隙を狙って、重罪犯罪者があの手この手でホフマンの命を狙うのです。
絶体絶命、権力者と犯罪組織両方から狙われたホフマンですが、天才的な勘でこの事態を予測していました。限りなく可能性が低い方法です。
まとめ
ひとりの男が追い詰められ、しかし不屈の精神を忘れないということに、私の心が奮起するのを感じました。
最後、「三秒間の死角」の瞬間、ホフマンの作戦は成功するのでしょうか。
手に汗握るとい表現がぬるいような絶体絶命の中での緊張感を楽しめました。
三秒間の死角 上 (角川文庫) アンデシュ・ルースルンド
三秒間の死角 下 (角川文庫) アンデシュ・ルースルンド