著者つばた 英子,つばた しゅういち
価格¥ 1,512(2018/04/25 18:40時点)
出版社: 主婦と生活社 (2015/11/20)
つばた英子
1928年生まれ。キッチンガーデナーとして、大地に根ざしたていねいな暮らしを実践中
つばたしゅういち
1925年生まれ。自由時間評論家。東京大学卒業後、アントニン・レーモンド、板倉準三の建築設計事務所を経て日本住宅公団入社。
広島大学教授、名城大学教授、三重大学客員教授などを歴任
「ひでこさんのたからもの。」
2011年11月に主婦と生活社から出版された「あしたも、こはるびより。」の4年後の生活を記録した本です。
「あしたも、こはるびより。」は愛知県出身の建築家、津端修一さんとその妻であり共著作者の津端英子さんの著書ですが、出版当時の年齢は修一さんが86歳、英子さんが83歳。
英子さんによるとお二人のライフスタイルは半自給自足生活で、愛知県のニュータウン内に作った広大な畑で野菜を育て、その日に食べる野菜を収穫して調理する反面、料理に使う乾物にこだわるなど、真似したい事が随所に書かれています。
津端修一さんは有名な団地多摩平・高根台団地や阿佐ヶ谷住宅の設計を手掛けた実績があり、本著の舞台である愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの設計もしています。
チェコ出身の建築家・アントニオ・レーモンドに師事していた事もあったため、ご自宅は師匠であるレーモンドさんの家を真似していますが、天井が高く日の光が降りそそぐ明るい室内で、ワンフロアに台所と寝室、修一さんの書斎スペースが同居していても、狭さを感じさせないのだから不思議です。
フロア全体はロフトとロッジを合わせたデザインと近い印象で、住み心地が良さそう。お部屋の中はお二人の創意工夫で満ち溢れています。毎日の暮らしの中で欠かせない事を忘れないよう、まな板のような板に注意書きをしてあちこちに置いておいたり、いつも使う物の整理整頓をきちんとして極力外に出さないようにする事を習慣にしているので、シンプルですっきりとしたインテリアになっています。修一さんが提唱するキッチン・ガーデンでは120種類の野菜や果物を育てていて畑が区画されているので、どこにどの野菜が植えてあるのかが一目でわかります。
お二人の役割分担ははっきりしていて、修一さんが毎日の食事や来客のメニューの記録、自家製ベーコンを作ったり農作業や家事をしやすいよう手助けをする傍ら、英子さんが農作業や食事とお菓子作りや洗濯、掃除などをしています。
まとめ
この本を読むと四季折々の暮らしを慈しんでいる様子が伝わってきて、心が和みます。お二人には離れた土地に嫁いだ二人のお嬢さんがいますが、自立した生活の中で愛情のこもったお惣菜を拵えて送るのは誰にでも出来る事ではありません。本著や「あしたも、こはるびより。」以前にも本を出版しているため、そのライフスタイルに感銘を受けて訪れるファンの人達やお嬢さんやお孫さんのためにケーキや料理を用意したりする事がありますが、本当の意味で満ち足りた生活を出来ていると感じます。夫の津端修一さんが本著を出版後の2015年に老衰で亡くなってからは英子さんお一人で暮らしていますが、物語を紡ぐように時を紡ぐライフスタイルは見習いたいものです。
あしたも、こはるびより。
83歳と86歳の菜園生活。愛知県のニュータウンで、夫婦ふたり。キッチンガーデンで野菜を育て、換気扇のない台所で保存食をつくり、玄関のないワンルームの丸太小屋で暮らす。簡素だけど優雅な歳時記です。
ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~
『ききがたり ときをためる暮らし』から4年。その後のふたりの日々と、しゅういちさん亡き後の英子さんの暮らし―。愛らしくも潔い89歳の心豊かな日々をお届けします。
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